ニュースの概要
デンマークを拠点とするScan Global Logisticsが、米オレゴン州ポートランドに本社を置くOIA Globalを買収する契約を結んだ。OIA Globalは30か国以上、60を超える拠点で1,200人以上が働く企業で、国際貨物輸送のほか、通関、プロジェクト物流、サプライチェーン管理まで手がける。買収が完了すれば、Scan Globalは世界の貨物フォワーダー(=荷主に代わって輸送手配を行う事業者)の上位20社に入る規模になるという。欧州に強い企業が、米国に根を持つ企業を取り込む形の再編である。
引用元: Scan Global Logistics、米国拠点を持つOIA Globalの買収で世界上位20社を目指す(Air Cargo News)
分析・見解
欧州勢が米国の拠点網を買い取る理由
Scan Globalのような中堅フォワーダーが大手と競うとき、最も不足するのは取扱量そのものではない。特定の国や航路に「自社の人員と倉庫」を持つ拠点網である。OIA Globalは米国に本拠を置き、アジア発着の貨物にも強みがある。ここを取り込めば、欧州中心だった顧客網に米国の入口と出口が加わる。新しく支店を作るより、買収のほうが早く確実だと判断したのだろう。
上位20社入りという目標が持つ意味
フォワーダー業界は、DHL、Kuehne+Nagel、DSVのような巨大企業が上位を占める。一方で下位には数千社の中小が並ぶ。この構造では、20位前後に入れるかどうかが、大手荷主の入札に呼ばれるかどうかの分かれ目になる。世界規模の荷主は、拠点がばらばらの業者を何十社も使うことを嫌う。窓口を絞りたいからだ。1,200人超の人員を足して規模を確保する狙いは、ここにある。
過去の統合例から見える、本当の難所
DSVがDB Schenkerを約143億ユーロで取り込んだ例のように、近年の再編は大型化している。ただし、買収後に待つのは基幹システムの統合である。貨物の追跡、請求、通関書類の様式が会社ごとに違い、そろえるまで1年以上かかることも珍しくない。その間に現場の担当者が競合へ移れば、顧客も一緒に動く。数字の上では上位20社入りでも、中身がつながらなければ強みにならない。ここが見落とされやすい独自の論点である。
運賃が落ち着く局面で、再編が進みやすい理由
運賃が高騰していた時期は、仲介だけで利益が出た。運賃が落ち着くと、利益は通関や倉庫、管理業務といった付加価値サービスから生まれるようになる。OIA Globalが持つ通関やプロジェクト物流は、まさにその領域だ。今後は規模を求める買収と、得意分野に絞る専門業者への二極化が進むと見ている。
ビジネスへの影響
荷主が取引先の選び方を見直す好機
取引先のフォワーダーが買収されると、担当者や料金体系、システムが数か月で変わることがある。自社の契約書に、条件変更時の通知義務や解約条項があるかをまず確認したい。同時に、拠点網が広がった事業者は、米国向けと欧州向けを一社にまとめる提案をしてくるはずだ。窓口の一本化で管理の手間は減るが、価格交渉の力が弱まる面もある。複数社を比べる余地は残しておくのが安全である。
中小事業者は大手が拾えない細かな需要を狙う
再編が進むほど、統合作業に追われた大手は小口や特殊な案件への対応が鈍りやすい。小ロットの輸入、通関の相談、特定国に絞った手配などは、中小が強みを出せる場所だ。たとえば個人輸入代行や越境販売の事業者は、大手の統合期間中に細かい対応力をアピールできる。自社の得意な品目と地域を、はっきり言葉にして打ち出したい。