ニュースの概要
ニコニコニュースによると、ある企業が社内ハッカソン(=短期間で集中的にものづくりをする社内イベント)から生まれた成果をまとめた特設ページを公開した。紹介されている成果は二つある。一つはITインフラ向けのオープンソースソフトウェア、もう一つは検査画像をスマートフォンへ転送するサービスである。ハッカソンは親睦行事に終わることも多いが、今回は実際に使える形のソフトウェアが外に出た点が目を引く。成果を特設ページとして整理して見せることで、技術力の発信にもつなげていると読める。
引用元: ITインフラOSSと検査画像スマートフォン転送サービスが誕生した社内ハッカソン特設ページを公開(ニコニコニュース)
分析・見解
公開を前提にしたハッカソンが成果物の質を上げる
ハッカソンとは、数日間ほど集中して試作品を作る催しである。多くの会社では、発表会で盛り上がっても翌週には誰も触らなくなる。今回の特徴は、成果を特設ページにまとめて外に見せたことだ。見られる前提があれば、作る側は動く状態まで仕上げようとする。公開は、品質を引き上げる仕掛けとして働く。
参加者にとっても、自分の名前が残る成果物は評価の材料になる。イベントの熱が、履歴書に書ける実績へ変わる。これは社内の人材育成として、思いのほか効果が大きい。
正反対に見える二つの成果に共通する身近な不便
成果の一つはITインフラ向けのOSS(=誰でも中身を見て使えるソフトウェア)、もう一つは検査画像を手元のスマートフォンへ送るサービスである。前者は仕組みを作る人のための部品、後者は現場で待たされる人のための道具だ。性格は正反対だが、どちらも身近な不便から出発している点は共通する。
なお、検査画像が医療用か工場の外観検査用かは、要約だけでは分からない。医療に近い画像なら、暗号化や閲覧記録、端末を紛失したときの対策が欠かせない。試作の速さと守りの堅さをどう両立させたか。そこが本当の見どころだと考える。
画像を早く渡したい悩みは物流の現場にもある
物流にも似た場面がある。倉庫で荷物の破損が見つかったとき、写真を撮って事務所へ送り、判断を仰ぐ。この往復が遅いと、通関も出荷も止まる。越境ECの検品写真や、輸入貨物の外装確認でも事情は同じだ。画像を人から人へ早く渡す仕組みは、業界を問わず効果が大きい。
付け加えるなら、スマートフォン向けにしたこと自体が重要だ。専用端末の前に行くのではなく、持ち歩く道具に情報を寄せる。使われる場所に合わせた設計が、現場では定着の分かれ目になる。
OSS公開の本当の価値は半年後の更新で決まる
OSSとして公開すると、利用者は中身を確認でき、信頼が生まれる。一方で、公開後は質問への対応、弱点の報告、更新作業が続く。作って終わりにはできない。人気のあるOSSでも、担当者が抜けた途端に更新が止まる例は多い。
社内ハッカソン発のOSSが一年後も更新されているか。それが企業の本気度を測る目安になる。公開日の話題性より、半年後の更新履歴のほうが多くを語る。
ビジネスへの影響
数日の短い枠で小さく試す社内開発の進め方
まず、二日から三日ほどの短い枠を決める。テーマは「毎日の面倒」に限るのがよい。たとえば、問い合わせ対応の転記作業や、取引先ごとの書類の仕分けである。参加者は開発者だけでなく、現場の担当者も混ぜる。困りごとを知る人が加わると、試作が実務に刺さりやすい。終了時には、動くものを一つ残すことを条件にする。外部に頼めば数百万円かかる業務ツールでも、試作なら社内の数日で形になる場合がある。
自社の現場で画像や書類が止まる場所を探す
自社の業務で、写真や書類を渡すのに時間がかかっている場面を洗い出してほしい。輸入なら、貨物の外装写真、インボイス(=送り状を兼ねた請求書)、通関書類の確認が代表例だ。ここがスマートフォンで完結すると、待ち時間が目に見えて減る。外部サービスを契約する前に、社内の試作で効果を確かめる手もある。効果の測り方は単純でよい。依頼から判断までの時間が何分縮んだかを、前後で記録する。
成果を公開するなら更新の担当者まで先に決める
成果を外に出す場合は、担当者、問い合わせの窓口、更新の頻度を先に決める。ここが曖昧だと、公開がかえって信用を落とす。個人情報や取引先の情報を含むデータは、試作の段階から本番と分けて扱う。小さく作り、守りは最初から固める。この順序が、内製の失敗を減らす。