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米国デミニミス免税の廃止で一変する越境EC、航空貨物は集約型と現地在庫型の時代へ

米国デミニミス免税の廃止で一変する越境EC、航空貨物は集約型と現地在庫型の時代へ

ニュースの概要

米国が少額輸入品に認めてきた800ドル以下の免税枠、いわゆるデミニミス制度が停止された。これにより、対象の貨物にも関税や税金、手数料、通関申告が必要になった。欧州でも関税まわりの見直しが進み、越境EC向けの航空貨物の流れが変わりつつあると、航空貨物専門メディアのAir Cargo Weekは伝えている。これまで主流だった、少額商品を一つずつ個人宛てに送るやり方は成り立ちにくくなる。転送サービスの利用者や越境EC事業者は、在庫を先に現地へ運び込む、荷物をまとめて運ぶ、現地の倉庫から出荷するといった方式への切り替えを迫られている。

引用元: 米国のデミニミス免税廃止が越境ECの航空貨物市場を再編(Air Cargo Week)

分析・見解

免税枠の消滅で崩れた「小包を一つずつ送る」前提

デミニミスとは、一定額以下の輸入品に関税をかけず、通関も簡単にすませる制度である。米国の基準は800ドルだった。この枠のおかげで、数千円の衣類や雑貨を個人宛てに直送しても、追加の負担はほとんど生じなかった。越境ECの急成長は、この手軽さに支えられていた。

免税が止まると、小包の一つひとつが申告の対象になる。問題は関税額そのものより、申告の手間と手数料である。千円の商品に数百円の事務コストが乗れば、価格の強みは消える。たとえば、日本から米国の購入者へ雑貨を直送してきた小規模事業者は、同じ価格で売り続けるのが難しくなる。小口ほど痛手が大きい制度変更だ。

航空貨物は「小口の大量」から「まとまった荷」へ

これまで航空会社にとって、EC小包は旅客機の腹や貨物専用機を埋める安定した需要だった。袋詰めの小包が毎日大量に流れ込む構図である。しかし、一件ずつ申告が要るなら、この形は続けにくい。貨物は複数の注文を一つにまとめ、事前に情報を整えたうえで運ぶ形へ寄っていく。また、荷主が申告に必要な品名や価格、原産国の情報を正確に渡せるかも、運べるかどうかを分ける条件になる。欧州でも少額貨物への優遇を縮める動きがあり、米国だけの話では終わらない。

本質は輸送の問題から在庫の問題への移行にある

注目したいのは、送り方より「在庫を置く場所」が変わる点だ。注文を受けてから海外へ送るのをやめ、売れそうな商品を先に現地倉庫へ運んでおけば、通関は大口で一回にすむ。購入者には国内配送として届くため、納期も短くなる。

一方で、売れ残りという新しいリスクが生まれる。これまで越境ECは在庫を持たずに始められる点が魅力だった。免税廃止は、その身軽さを手放す代わりに、現地での速さと価格の安定を得る取引に変えた。需要予測の巧拙が、そのまま利益を左右する時代になる。輸送会社側も、倉庫保管や返品処理まで一括で受ける形へサービスを広げる必要がある。

貨物の種類で選ぶ輸送手段も分かれる

先行搬入する大口の商品は、運賃の安い海上輸送でも間に合う。航空は、売れ行きを見ながらの補充や、季節商品、高単価品に役割が絞られるだろう。航空貨物市場全体では、小包型の需要が減る分を、集約貨物や緊急補充の需要がどこまで埋めるかが焦点になる。

ビジネスへの影響

まず商品を「先に送る物」と「注文後に送る物」に分ける

越境ECを営む事業者は、取り扱い商品を売れ行きの安定度で分けたい。毎月確実に売れる定番品は、現地倉庫への前倒し搬入に向く。単価が低く売れ行きが読めない商品は、無理に在庫化せず、取り扱いそのものを見直す判断もある。全商品を一律に切り替えるのは危険だ。試験的に20〜30点の商品から始め、四半期ごとに回転率を見て増減させるとよい。在庫を持つ以上、売れ残りの値引きや廃棄の費用も、最初の計画に織り込んでおく必要がある。

価格表示と利益計算は関税込みで作り直す

購入者が関税や手数料を後から請求される形は、不満と返品を招きやすい。商品価格に関税と手数料を含めて表示し、購入者の負担を購入時に確定させる方式が望ましい。同時に、自社の利益計算も、関税、申告手数料、現地倉庫の保管料を加えて再計算する。値上げが必要な商品と、値上げしても売れる商品を早めに仕分けておくと動きやすい。制度は今後も変わりうるため、関税率は料金表で一元管理し、更新しやすくしておく。

物流パートナー選びは申告情報を整えられるかで比べる

転送や購買代行の事業者、貨物の集約を担う会社を選ぶときは、運賃表だけで比べない。品名、価格、原産国といった申告情報を正確に作れるか、現地倉庫と返品処理まで任せられるかを確認する。まず一つの商品群で小さく試し、通関にかかる日数と費用を実測してから対象を広げる進め方が、失敗を小さくする。契約には、制度変更時の料金見直しの条件も盛り込んでおきたい。

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