ニュースの概要
TD CowenとAFSの分析によれば、FedExとUPSが荷主に請求する配送価格は、第4四半期に過去最高の水準へ達する見通しだ。第3四半期は、燃料サーチャージの低下や割引の拡大が重なり、荷主の実質的な負担が一時的に和らいでいた。しかし年末商戦に向けて繁忙期サーチャージが上がるため、その効果は長続きしない。米国内配送と国際配送の両方を使う転送サービス事業者にとっては、仕入れの運賃も利用者に請求する料金も、ともに上昇圧力を受けることになる。
引用元: FedEx・UPSの第4四半期配送価格、過去最高水準となる見通し(Supply Chain Dive)
分析・見解
第3四半期の値下がりは見かけの緩和にすぎない
荷主が実際に払う運賃は、定価そのものでは決まらない。定価から割引を引き、燃料サーチャージ(=燃料価格に連動する上乗せ料金)などを足した総額が、実質の運賃である。第3四半期は燃料の上乗せが下がり、割引も広がったため、総額が一時的に軽くなった。だが定価が下がったわけではない。上乗せと割引という「調整部分」が動いただけで、土台の価格は高止まりしたままだ。
割引の拡大には、運送会社が荷物量を確保したいという事情もある。需要が弱い時期は値引きで荷物を集め、需要が強まれば上乗せで取り戻す。この循環を知っておくと、第3四半期の安さを基準に年間計画を立てる危うさが見えてくる。
繁忙期サーチャージが総額を押し上げる仕組み
第4四半期は年末商戦で荷物が急増する。運送会社の処理能力には限りがあるため、混雑する時期に繁忙期サーチャージを上乗せし、需要をならしながら収益を確保する。これ自体は毎年のことだ。ただ今回は、第3四半期に軽くなっていた分が消え、そこへ上乗せが重なる。前の四半期と比べた上昇幅が大きく見えやすい。
さらに、箱の大きさで料金が決まる容積重量(=かさ張る荷物ほど高くなる計算方式)も効いてくる。繁忙期は割引の適用が絞られることもあり、交渉の余地が小さい時期に負担が集中する構図になる。
転送サービスは仕入れと販売の両面で圧力を受ける
転送サービス事業者は、日本の利用者に代わって米国の店舗から商品を受け取り、日本へ送る。運賃は二段階でかかる。米国内では店舗から転送倉庫まで、国際では倉庫から日本までだ。両方でFedExやUPSを使う場合、第4四半期は二つの運賃が同時に上がる。
一方で、利用者向けの料金を急に上げると、年末の買い物需要を逃しかねない。値上げすれば客が離れ、据え置けば利益が削られる。この板挟みこそが今回のニュースの本質である。
差がつくのは契約条件と荷物の中身である
大口の荷主は大きな割引を持つが、小規模な転送事業者は定価に近い条件になりやすい。同じ上昇率でも、負担の重さは事業者ごとに違う。荷物の重さや大きさの構成でも差が出る。
ここで効くのは、複数の荷物をまとめて梱包して容積を減らす工夫と、郵便系サービスなど別の輸送手段との使い分けだ。加えて、年明けには例年、定価の改定が控える。第4四半期の上昇は、来年の価格水準を考える入り口でもある。運賃の内訳を細かく把握し、契約を見直した事業者ほど、値上がり局面で相対的に強くなる。
ビジネスへの影響
年末までに決めておきたい三つの数字
まず、直近三か月の一件あたり運賃を、基本運賃、燃料上乗せ、繁忙期上乗せ、その他に分けて把握する。内訳が見えれば、どの部分が上がったのかが分かり、利用者への説明もしやすくなる。次に、値上げをしても注文が減らない上限を、過去の価格改定時の注文数から推定する。三つ目は、運賃が想定より上がっても利益が残る最低限の手数料水準である。この三つを先に決めておけば、忙しい年末に場当たりの判断をせずに済む。
利用者への伝え方と運び方の見直し
料金改定は、理由を添えて早めに告知する。「繁忙期の運賃上昇分を反映」と具体的に書き、期間限定の上乗せとして区別すれば、年明けに戻す余地も残せる。発送の締め切り日を明示して早めの利用を促せば、混雑期の荷物集中をならす効果もある。
運び方では、急ぎでない荷物を船便や郵便系サービスへ誘導する選択肢を用意したい。ただし配達日数が延びるため、年末のギフト用途には向かない点を明記しておく。キャリアとの契約についても、荷物量の見通しを示して割引条件を再交渉する価値がある。小規模でも、複数社の見積もりを並べるだけで話は変わる。
年明けの定価改定まで見据えた価格計画
第4四半期の価格が高止まりすると、年明けの改定と合わせて上昇が長引く可能性がある。一時的な上乗せだと考えて自社で吸収し続けると、利益が慢性的に細る。値上げ分のうち恒久的に必要な部分を見極め、段階的に料金へ反映する計画を、年内に作っておくべきだ。